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 待ち合わせ場所には既に彼らが来ていた。私たちは飲食店へと向かい、そこで様々な会話を交わし、彼らの発言に対して、彼らがほどほどに笑いそうな返答を返した。そうして私たちは笑った。

「お前は付き合いが悪くなった」と彼らは言った。その彼らの発言、過去との私たちの関係を今も同じように継続させたいような、そんな過去から続く生命の糸のようなものを途切れさせることなく持っているのだということを感じた。そのことに触発されたのか、私たちの中の、彼らの望むような死んでいた私、途切れた私が、微かに息を吹き替えしたように思った。

「社会人だからしかたねぇか」と次の言葉が耳に入り、その言葉を聴いたときに、微かに甦った私を握り殺したくなるような感覚を抱いた。が、それはすぐに忘れてしまった。私たちは飲食店を出て、いつもと同じようにカラオケと書店を回り、各々の好きな歌と各々の好きな本を買った。大変楽しかった。

彼らと別れ、私たちは帰路についた。視界に写る並木が私たちに、心の底からの安心を与えていった。家に入った私たちは飲み物をコップに注ぎ、一息に飲み干した。そうしてカラになったコップに再び飲み物を注ぎ、それをまた飲み干した。普段はこんなに飲むことはないのだが、二回繰り返した方がよりいっそう、私自身に戻れるような感触がした。

スマホを触っていると、今日の出来事をラクガキとして書き散らしたい衝動に駆られた。それをタイムライムに流すことを考えると、心拍数が少し上がった。と、思ったが、それは分からなくなり、様々な考えを巡らせていたのだが、結局それらのすべての考えを私たちは忘れてしまった。